
フレイルだけじゃない、“意外と知られていない脂肪浸潤”
「歳を重ねると体脂肪が増える」──多くの方がそう聞くと、「ダイエットしないと」と思うかもしれません。ですが実は、体脂肪の増え方にも“質の違い”があることをご存じでしょうか?
加齢とともに変わる「体脂肪の分布」
体脂肪は大きく皮下脂肪と内臓脂肪に分けられます。若い頃は皮下脂肪が多く、加齢とともに内臓脂肪が増え、皮下脂肪は減少する傾向があります。特に、女性では閉経以降に、男性では中年以降にこの変化が顕著になります。
つまり、年齢を重ねると「体の内側に脂肪がたまりやすく、外側の脂肪はむしろ減る」──これが加齢の“体の厚み”の変化です。
もうひとつの加齢現象「脂肪浸潤」
最近の研究では、脂肪が増えるのはお腹まわりだけではなく、筋肉の中にも脂肪が入り込む現象(脂肪浸潤)が起きることが分かってきました。
筋肉の中に脂肪が入り込むと、筋線維が細くなり、内部ではコラーゲンなどの線維が増えて筋肉が硬くなることがあります。これにより、
- 筋力が発揮しにくい
- 関節が動かしづらい
- 慢性的な痛みや不調が出る
といった症状につながることがあります。これはいわば、“体の厚みがあっても中身は動かない状態”。放っておくとフレイル(虚弱)や姿勢の崩れにも関係してきます。
大切なのは「動かす習慣」
この脂肪浸潤を防ぐには、無理なく続けられる運動習慣が大切です。ポイントは、「頑張って鍛える」よりも「こまめに動かす」こと。
動くことで筋肉や皮下組織の“滑り”が保たれ、血流が促され、体の中の組織が柔らかく動きやすくなります。
痛みや不調で運動ができない方へ
もし、痛みやこわばりがあって運動が思うようにできない場合は、無理をせず、専門家にご相談ください。
当院では、「痛みを改善させるセルフケア」や「痛みを減らしながら動ける体力づくり」のサポートを行っています。
