講演132 鼡径部の触診とアプローチを開催しました

前回の講演では「殿部痛に対する徒手療法」についてお伝えしましたが、今回はその続編として、「鼡径部(そけいぶ)の触診とアプローチ」をテーマに開催しました。

鼡径部は、股関節や骨盤周囲、さらには下肢全体の動きに深く関係しており、わずかな違和感や筋緊張でも歩行や姿勢に影響を及ぼす繊細な部位です。そのため、正確な触診と適切なアプローチが求められます。


■ 見える化と実感を重視した講義

今回はエコーを活用し、「見える化」を図りながら実技を進めました。
組織の層構造や滑走の様子をリアルタイムで確認することで、どの程度の刺激で組織が動くのか、また過剰な圧がどのように影響するのかを体感していただきました。

参加者の皆さんからは、
「思っていたよりも少ない力で動くことに驚いた」
「視覚的に確認できたことで、触診の感覚がより明確になった」
といった声が寄せられました。


■ 繊細な操作で最大の効果を

鼡径部は、力任せに扱うのではなく、わずかな圧や角度の変化で組織を誘導することが大切です。
講義では、関節・筋・神経といった複数の要素を意識しながら、実際にどの方向に誘導すれば滑走が改善するのかを参加者全員で確認しました。

操作の「強さ」ではなく動かす「方向」を理解すること。
これこそが臨床の現場で活きる徒手療法の基本であり、そのためにも解剖の理解が必須となります。


■ まとめ

今回の講演では、鼡径部という繊細な領域をテーマに、エコーでの見える化と触診技術の融合を体験していただきました。
小さな気づきが臨床の大きな成果につながる——そんな実感を得られる時間となったと思います。

医学的視点を日常に。
次回も、現場で役立つ技術をわかりやすくお伝えしていきます。