今回は「体の部分が入っている慣用句」について理学療法士の視点で解説したいと思います。
慣用句とは習慣として長い間、広く使われてきた言い回しのことです。

 

首(くび)は頭と胴体をつなぐ部分ですが、この首を使った様々な言い回しが日本には存在しています。

例えば…

首を長くする(期待して待っている)
首をかしげる(不審に思う)
首を突っ込む(深入りする)
首が飛ぶ、首にする(免職・解雇される)
首の皮一枚(ごく小さな可能性がまだある)
首が回らない(借金などで、やりくりがつかない)
…など。

 

私が起業したての1年目は、お金のやりくりを考えただけで「首が回らない」状態でした(笑)
スケジュールが空いているだけで不安になりますし、この状態がどのくらい続いたら…と考えたら恐怖です。
なので、休みなんていらないから仕事をしたい!!という状態でした。

 

 

私が体験した「首が回らない」状態は、実際のカラダにおいてはよく動いていました。
でもなぜこうした大きな不安が訪れることで「首が回らない」と昔から表現していたのでしょか。

 

首は正しくは頚部といって7個の骨(頚椎)が存在し、頭を様々な方向へ動かす構造をしています。
そして、頭にはご存知の通り大切な脳が存在し、首は脳に栄養を届ける経路にもなっています。

 

 

頭を様々な方向へ動かす構造をしている首ですが、様々な方向へ動かすには土台となる胴体が必要になります。
これはクレーン車と一緒です。もし、クレーン車の土台が安定していないと、大きな荷物を安定して運ぶことはできません。

同じように胴体が安定していないと首は充分な働きをしないのです。

つまり、「首が回らない」状態とは「土台に何か問題のある」状態ということです。

 

 

土台となる胴体の中で私は、「大きな不安によって働きが低下する部分は胸」だと考えています。
もっと言ってしまえば胸の上の部分(上位胸椎)の働き(柔軟性)が低下していると思っています。

 

例えばこんな経験ありませんか?
受験や資格試験の当日…
勉強はしてきたけど受かるか不安…

周りを見渡すと、みんな私より出来るように感じてしまう…
ああ、どうか受かりますように…

 

こういう不安な状況はカラダにとってストレスであると感じ、自律神経でいうとアクセルである交感神経が優位に働きます。
少し気持ちを落ち着かせるためにも深呼吸をしてブレーキである副交感神経に刺激を入れて「交感神経と副交感神経のバランスを保とう」とします。

ただ、交感神経の働きが強すぎるとバランスを崩し、症状として「息が深く吸えない」「力が上手く入らない」「心臓の鼓動が聞こえてくる」…などを自覚します。

専門用語でいうと「防衛体力」が一時的に低下しているのです(体力は2つに分けられ、自律神経は防衛体力に含まれています)。

 

 

さて、こうした状態を一言でいうと「ガチガチに緊張している」状態です。

そして、先ほど言った上位胸椎の柔軟性が特に低下する印象を持っています。

なぜかと言うと胸椎には交感神経節というアクセルを踏む細胞がたくさん集まっていて、なおかつ上位胸椎の交感神経節は眼や心臓や肺に強く作用する部分であることが分かっているからです。

 

 

大きな不安によって
睡眠が乱れたり…
眼を酷使したり…
呼吸が浅くなったり…
リラックスできず心臓のリズムがいつもより早かったり…


こうした影響が長期的に続くことによって、上位胸椎がガチガチに緊張し、土台の働きが低下して首の機能が悪くなるのです。

そして、昔の人はそれを「首が回らなくなる」と表現したのではないのでしょうか(^-^)

 

カラダって不思議ですよね。

ところで、あなたの首は回っていますか??

もし上位胸椎がガチガチに緊張して、柔軟性が低下していたら…

そう感じたあなたは、これやってみてください。
①両手を後ろで組んで肘を伸ばす(手のひらは床側)
②お辞儀をしながら腕を伸ばす
正常は90度以上腕が上がります。
あなたは何度でしょうか(^-^)

 

 

いやあ、カラダって本当に不思議で面白いですね。

是非共感していただけたら、他の人にもこの情報を伝えてください。

そして、お悩み事があればお気軽にご相談ください(^-^)


それではまた次回。